コードを書く人から「設計して価値を出す人」へ
AIで「コーディング」が簡単になった今、不安になるのは当然
ChatGPT、GitHub Copilot、各種AIエディタ…。
2024年以降、Web制作の現場は“AI前提”へと急速に変わりました。
これまでコーダーの武器だった
- 速くHTMLを書ける
- CSSをきれいに整えられる
- JavaScriptで動きをつけられる
といったスキルが、AIの登場によって“加速”される一方で、こんな不安も生まれています。
「AIがコードを書けるなら、コーダーは不要になるのでは?」
「自分の価値はどこにあるの?」
「学ぶべきことは何が正解?」
結論から言うと、AI時代にコーダーが不要になることはありません。
ただし、“作業者”としての価値は減り、「考える人」としての価値が一気に上がります。
この記事では、AI時代にWebコーダーが生き残るために必要な
“考える力”の正体を、実務目線で徹底的に解説します。
第1章:AIが得意なこと・苦手なこと
まず、AI時代に「何が変わったのか」を整理しましょう。
AIが普及したことで、Web制作で次のことが一瞬になりました。
AIが得意なこと
- HTML/CSSの雛形生成
- レスポンシブ対応のテンプレ出力
- JSのよくある動作(アコーディオン、モーダル等)
- バグ修正案の提示
- リファクタ案の提案
- 設計パターンの例示
つまり、作るスピードは誰でも上がります。
でもここで重要なのは…
AIは「正しいっぽい答え」を出すのは得意だが、
「正しい設計」を決めるのは苦手
ということです。
AIが苦手なこと
- クライアントの意図を察する
- デザインの優先度(どこを守り、どこを崩してよいか)を判断
- 要件に応じた設計選択
- 運用を想定した実装(更新・拡張を見据える)
- チームルール・プロダクト文脈の理解
- “間違ってはいないが、この案件では最適でない”の判断
AIが出してくるコードはたいてい「動く」けれど、
現場で求められる“最適”ではないことが多いのです。
「書く力」から「設計する力」へ価値が移動する
これまでのコーダーの価値は、極端に言えばこうでした。
早く正確に実装できる人=価値が高い
しかしAI登場後、この価値の中心がズレ始めています。
これからの価値はこう変わる
- ✅ コードを書く速さ → みんな速くなる
- ✅ 正確な実装 → AIが補助できる
- ✅ バグの修正 → AIが提示できる
では差が出るのはどこか?
「何を作るべきか」
「どう作るべきか」
を決められる人
つまり、Webコーダーに求められるのは
“設計する力”=考える力です。
AI時代のWebコーダーに必要な「考える力」7つ
ここからが本題です。
AI時代に必須になる“考える力”を、7つに分解して紹介します。
① 意図を読み取る力(読解力)
AIは「文章の意味」を読めても、
クライアントの背景・温度感・本音までは読み切れません。
例)
- 「見やすくしてほしい」
→ 余白?フォント?導線?情報整理?
どれが原因かは案件文脈次第 - 「カッコよく」
→ 高級感?スタイリッシュ?可愛い?
テイストの解像度が必要
ここを読み解いて、実装に落とすのが人間の仕事です。
② “再現”ではなく“最適化”する力(翻訳力)
デザイン通りに作ることはもちろん大切。
ただし実案件では、デザインデータが完璧とは限りません。
- デザイン上は成立してるが実装すると崩れる
- SPの設計が甘い
- 文言が変わると破綻する
- 余白がバラついている
このとき必要なのは「写す力」ではなく、
デザインの意図を壊さず
実装のルールとして整える能力
これがプロの“考える力”です。
③ 優先順位をつける力(判断力)
AIのコードは「全部やろう」としがちです。
しかし現場はいつも時間が限られています。
- 納期が短い
- 修正が多い
- 要件が変わる
- 想定外のトラブルが起きる
こういうとき、
どこを完璧にするべきか
どこは許容するか
を判断できる人が、強いです。
たとえば
- アニメーションは軽めでOK
- でもSP表示崩れは絶対NG
- トップだけは印象命、優先する
- 下層はテンプレでスピード重視
この判断をする力が“納期を守る力”に直結します。
④ 保守性を考える力(未来視点)
AIは「今動くコード」を作るのは得意ですが、
未来の運用は考えてくれません。
実案件では納品後が本番です。
- 修正は誰がする?
- 更新頻度は?
- ページ増える?
- LP→サイト化する可能性は?
- WordPress化する?
こうした未来を見据えて
- CSS変数で色管理する
- 共通パーツ化する
- class設計を揃える
- WordPressやCMSに移植しやすくする
といった設計ができる人は、AI時代でも確実に必要とされます。
⑤ 原因を切り分ける力(デバッグ思考)
バグ対応は、今後むしろ重要になります。
なぜならAIがコードを増やすことで、
- CSSが複雑化しやすい
- JSがブラックボックス化しやすい
- 依存関係が増える
という“混乱”が起きやすいからです。
だからこそ必要になるのが、
バグの原因を「切り分け」で特定し、
最小変更で直す力
ここはAIに丸投げするとむしろ事故ります。
⑥ 仕組み化する力(テンプレ化・ルール化)
AI時代は「一発で答えを出す」より、
再現性のある作業フローを持っている人
が強いです。
例:
- フォルダ構成テンプレ
- SCSS設計テンプレ
- チェックリスト
- 納品前検証ルーティン
- WordPressテーマ化のベース
こういう「仕組み」を持っている人が、
安定して成果を出し、評価されます。
⑦ AIを使いこなす力(指示力・検証力)
AI時代の最大の差は、
AIを使うかどうかではなく
「どう使うか」
です。
使いこなせる人はこう使います。
- 目的を明確にして依頼
- 出力をレビューする
- 仕様や案件文脈に合わせて調整
- コード品質(保守性・一貫性)を整える
つまり、
AIを“部下”として動かし
最終品質を“上司目線”で担保する
これがAI時代のWebコーダー像です。
第4章:AI時代の学習法は「暗記」から「思考訓練」へ
これからの学習は、ただ知識を増やすだけでは不十分。
これから伸びる学習
- なぜこのHTML構造なのか説明できる
- なぜflexでなくgridを選んだのか語れる
- なぜこのCSS設計にしたのか意図がある
- 改善案が出せる
つまり、
「コードを書く練習」より
「設計理由を言語化する練習」
が重要です。
おすすめは以下。
実践練習
- デザイン模写(Figma)
- 自分のコードをレビュー(ChatGPTや自分で)
- リファクタリング
- “なぜこうしたか”をメモに残す
この反復で「考える力」は確実に育ちます。
第5章:AI時代に強いWebコーダーのキャリア戦略
最後に、AI時代のキャリアの勝ち筋を整理します。
強いコーダーの特徴
- 設計ができる
- 仕様整理できる
- WordPress/CMSも扱える
- デバッグ・検証が強い
- “相手のための実装”ができる
AIで「作れる人」が増えたからこそ、
作れるだけの人は埋もれやすい
考えられる人は突出する
これが現実です。
まとめ:AI時代のWebコーダーは“考える人”が勝つ
AI時代に求められるWebコーダー像はこうです。
コードを書く人ではなく
コードで価値を作る人
そのために必要なのは、
- 意図を読み取る
- 設計を考える
- 優先順位をつける
- 保守性を作る
- バグを切り分ける
- 仕組み化する
- AIを使いこなす
つまり、“考える力”です。
AIは便利ですが、AIが出すのは「答え」ではなく「候補」。
最後に決めて責任を持つのは、あなたです。
AIと組めるコーダーは強い。
でも、AIを使って“考えられる”コーダーは最強。

