アニメーションで魅せる!CSSとGSAPの使い分け

〜動きで伝えるデザインのセンスを磨く〜

はじめに:Webサイトは「静止画」から「体験」へ

近年のWebデザインでは、
見た目の美しさだけでなく、“動き”による体験設計が求められています。

ボタンがふわっと浮かぶ。
スクロールに合わせて要素が滑らかに現れる。
背景がゆっくり動くことで、ページに奥行きが生まれる。

こうした演出は、ユーザーの目を引き、
「印象に残るサイト体験」を作り出します。

その中心にあるのが、CSSアニメーションGSAP(GreenSock Animation Platform)

この2つの技術をどう使い分けるかで、
あなたのWeb表現力は大きく変わります。

CSSアニメーションの特徴と得意分野

まずは基本。CSSアニメーションは、軽量で手軽なアニメーション表現に向いています。

たとえば、ボタンのホバーやフェードインなど、
「単発的」「シンプル」「繰り返しの少ない」動きに最適です。

CSSアニメーションの代表的な書き方

.btn {
  transition: all 0.3s ease;
}
.btn:hover {
  transform: scale(1.1);
  background-color: #0078ff;
}

たったこれだけで「ホバー時にふわっと拡大」する演出が可能。
読み込みも速く、JavaScript不要で動作します。

CSSアニメーションの得意分野

ジャンル利点
ボタン・リンクホバー、クリック時の変化軽量・レスポンシブ
フェード系出現、消失、遷移transitionだけでOK
ループ系ローディング、アイコン点滅keyframesで簡単
トランジションページ内の微細な動きコードが短い

こんなときはCSSアニメーションを選ぼう

  • HTMLとCSSだけで完結させたい
  • スクロールイベントなどの複雑な制御は不要
  • 軽量で高速に動作させたい(LCPに優しい)
  • デザイナーも直接調整したい

キーワード:軽量・簡単・滑らか

GSAPの特徴と可能性

一方で、GSAP(GreenSock Animation Platform)は、
JavaScriptベースの超高機能なアニメーションライブラリです。

GSAPを使えば、CSSでは不可能な複雑な動きやタイムライン制御が実現できます。

基本の書き方

gsap.to(".box", {
  duration: 1,
  x: 200,
  rotation: 360,
  ease: "power2.out"
});

このたった数行で、要素を右に移動させながら回転させるアニメーションが作れます。

GSAPの強み

機能説明
タイムライン制御連続・同時・逆再生も自由自在
スクロール連動ScrollTriggerで簡単実装
複数要素制御数百個の要素を滑らかに動かせる
SVG・Canvas対応アイコンやイラストの動きも可能
トランジション同期複数アニメを1つの流れに統合できる

GSAPでできる表現例

  • スクロール演出: ページを進むたびに要素が浮かぶ/スライドする
  • タイムラインアニメーション: ロゴ → 見出し → ボタンが順番に出現
  • 背景パララックス: スクロールに合わせて奥行きを表現
  • SVGアニメーション: 線画が描かれるような動き

キーワード:制御・連動・創造

CSSとGSAPの「使い分け基準」

では、実際にどんな基準で使い分ければいいのでしょうか?
以下の3つの観点で判断すると迷いません

① 複雑さ:どの程度の動きを求めるか?

レベル技術
⭐️ シンプルCSSホバー・フェードイン
⭐⭐️ 中程度CSS + JSスクロールで表示切替
⭐⭐⭐ 高度GSAPタイムライン・多要素制御

② 制御性:どれだけ自由に動かしたいか?

要件適切な技術
自動で動くだけでOKCSS
スクロールやクリックで連動GSAP
逆再生・ループ・一時停止をしたいGSAP
動きのタイミングを細かく調整したいGSAP

③ パフォーマンス:処理負荷を意識する

GSAPは強力ですが、重いアニメーションを多用すると
CPU負荷が高くなり、モバイルではカクつくことがあります。

一方CSSアニメーションはGPU支援が効くため、軽量でスムーズ。

結論: 軽い動きはCSS、ストーリー性のある動きはGSAP。

実案件を想定した“使い分けシナリオ”

シナリオ①:企業サイトのヒーローアニメーション

  • 目的: 印象的なファーストビュー演出
  • 技術構成: GSAP + ScrollTrigger
  • 内容: テキストが一文字ずつフェードイン、背景がスライド
gsap.from(".hero-text span", {
  y: 30,
  opacity: 0,
  duration: 0.8,
  stagger: 0.1,
  scrollTrigger: ".hero-section"
});

→ 「動きのリズム」を作るにはGSAPが最適。

シナリオ②:サービス紹介カードのホバーエフェクト

  • 目的: UIのアクセント
  • 技術構成: CSSのみ
.card {
  transition: transform 0.3s ease, box-shadow 0.3s ease;
}
.card:hover {
  transform: translateY(-10px);
  box-shadow: 0 10px 20px rgba(0,0,0,0.2);
}

→ 単発・軽量な動きはCSSで十分。

シナリオ③:ランディングページ全体のストーリー演出

  • 目的: ブランド体験・没入感を高める
  • 技術構成: GSAPタイムライン+ScrollTrigger
let tl = gsap.timeline({
  scrollTrigger: {
    trigger: ".section",
    start: "top center",
    end: "bottom center",
    scrub: true
  }
});
tl.to(".bg", { scale: 1.2, opacity: 0.8 })
  .from(".headline", { y: 100, opacity: 0 })
  .to(".cta", { opacity: 1 });

→ ページ全体で動きを「物語」にできるのはGSAPならでは。

アニメーション制作で意識すべき3つの“設計思考”

① 動きに「目的」を持たせる

「動く=かっこいい」ではなく、“伝えるための動き”を設計しましょう。
例:CTAボタンの強調・読了誘導・注目の分散防止。

② 「テンポ」と「リズム」を設計する

音楽のように、速さ・間・強弱を意識します。
GSAPのstaggereaseを使うと、心地よい流れが作れます。

③ コードは“パターン化”して再利用する

頻出アニメーション(フェードイン、スライドアップなど)は関数化して使い回す。
プロジェクトの一貫性が上がり、保守性も向上します。

おすすめ学習ステップ

ステップ学ぶ内容使用技術
Step 1transition / keyframes で基本動作CSS
Step 2scrollイベントやhover効果の組み合わせCSS + JS
Step 3GSAPの基本API(to, from, timeline)GSAP
Step 4ScrollTriggerで連動アニメーションGSAP
Step 5実案件の模写・リファレンス研究両方併用

目標: “デザインを動かせるコーダー”になる。

まとめ:CSSとGSAPを“楽器”のように使いこなそう

アニメーションは、Webサイトに「感情とリズム」を与える表現手法です。

  • 軽やかに動かしたい → CSS
  • 物語的に魅せたい → GSAP

どちらが上位というわけではなく、
用途に応じて“奏で分ける”ことがプロの発想。

アニメーションは、コードで作るデザイン。
見せたい体験を、動きで語ろう。