html { font-size: 62.5%; } をやめるときの移行手順
事故らずに 16px 基準へ戻すための実務ガイド
前回の記事で触れた通り、html { font-size: 62.5%; } は今や積極採用しない設計です。
とはいえ、すでに運用中のサイトやテンプレートに組み込まれているケースも多いはず。
今回は、
- 既存サイトで 62.5% を使っている
- rem が 10px 基準で設計されている
- でも今後は 16px 基準に戻したい
という場合の安全な移行手順を解説します。
なぜそのまま消すと危険なのか?
まず大前提。
現在:
html {
font-size: 62.5%;
}=
1rem = 10px
これを消すと:
1rem = 16px
になります。
つまりすべての rem 指定が 1.6倍に拡大 します。
例:
font-size: 1.4rem; /* 14px のつもり */
↓
1.4rem × 16px = 22.4px
完全に崩壊します。
なので、いきなり削除はNGです。
移行の基本戦略
やることはシンプルです。
「10px換算で書かれたrem値」を「16px基準に変換する」
つまり:
旧rem値 × 0.625 = 新rem値
なぜなら:
10px → 16px
10 ÷ 16 = 0.625
手順①:影響範囲を把握する
まずやること:
- rem がどこで使われているか検索
- フォントサイズだけか?
- margin / padding / width も使っているか?
- line-height は?
VS Codeで:
rem
検索して一覧化します。
手順②:htmlを一旦100%に変更(テストブランチで)
html {
font-size: 100%;
}※ 本番にいきなり反映しない
この時点で画面は崩れます。
ここから修正開始です。
手順③:フォントサイズから直す
例
旧コード(10px基準):
h1 { font-size: 2.4rem; } /* 24px */
p { font-size: 1.4rem; } /* 14px */変換:
2.4 × 0.625 = 1.5rem
1.4 × 0.625 = 0.875rem
新コード:
h1 { font-size: 1.5rem; } /* 24px */
p { font-size: 0.875rem; } /* 14px */まずはテキスト系から修正します。
理由:
- 視覚的影響が最も大きい
- デザインの基準になる
手順④:余白・サイズを修正
margin / padding / width も同様に変換します。
例:
padding: 3rem; /* 30px */
↓
3 × 0.625 = 1.875rem
padding: 1.875rem;
手順⑤:line-height は基本そのままでOK
もしこうなっている場合:
line-height: 1.6;
これは単位なしなので問題なし。
ただし:
line-height: 2.4rem;
のような絶対指定は要変換。
手順⑥:ルート変数を活用すると楽
大量にある場合は、いきなり全変換せずに、
:root {
--scale: 0.625;
}一時的に:
h1 {
font-size: calc(2.4rem * var(--scale));
}のようにして段階移行する方法もあります。
最終的に値を確定させてから、変数を削除します。
手順⑦:レイアウト崩れチェック
特に注意するポイント:
- ヘッダー高さ
- ヒーローセクション
- ボタン高さ
- カードレイアウト
- grid / flex gap
- メディアクエリ
ブレークポイントはpxで書かれていることが多いので、
rem変換とは無関係ですが、視覚差は必ず確認。
手順⑧:メディアクエリを見直す(重要)
もしこうなっている場合:
@media (min-width: 76.8rem) {これは:
76.8rem × 10px = 768px
という設計です。
16px基準に戻すなら:
768 ÷ 16 = 48rem
へ変更する必要があります。
ここは忘れやすいので要注意です。
手順⑨:Figmaと再同期
デザインがpxベースの場合は:
- 16px基準で再確認
- フォントサイズの再定義
- 余白スケール整理
ここでついでに、
- 8pxグリッド
- タイポスケール
- clamp導入
なども整理するとベストです。
手順⑩:アクセシビリティ確認
- ブラウザ拡大200%
- OSフォント拡大
- スマホ表示
16px基準に戻すことで、
ユーザー設定の反映が自然になります。
ここは大きなメリットです。
移行時のよくあるミス
❌ いきなり削除して崩壊
❌ フォントだけ直して余白忘れる
❌ メディアクエリremを放置
❌ line-heightが詰まる
❌ clamp計算が狂う
おすすめの進め方(現実的)
- ブランチ作成
- htmlを100%に変更
- フォントだけ変換
- 主要ページ確認
- 余白修正
- レスポンシブ確認
- メディアクエリ変換
- 全体チェック
段階的にやるのが安全です。
まとめ
html { font-size: 62.5%; } をやめるのは、
- デザイン崩壊との戦い
- しかし長期的にはメリット大
- アクセシビリティ改善
- 外部CSSとの整合向上
- 将来保守が楽になる
という投資です。


