Figma→コード化の最短ルート:実案件を想定した練習方法

〜“手を動かす順番”が上達スピードを決める〜

はじめに:デザインからコーディングへ——壁を感じたことはありませんか?

Webデザインの勉強を始めて、
「Figmaでデザインは作れるようになったけど、コードに落とし込めない」
そんな悩みを抱えている人は多いでしょう。

実際、Figmaでのビジュアル設計と、HTML/CSSでの実装には“翻訳力”が必要です。
つまり、見た目を「構造」と「コード」に変換する力です。

本記事では、現場で即戦力になるための
Figma→コード化の最短ルートと練習方法を、実案件を想定しながら解説します。


第1章:Figmaとコードは「別物」ではなく「同じ構造を表す2つの言語」

まず前提として、FigmaとHTML/CSSは対立する関係ではありません。
両者は同じ“構造”を、ビジュアルテキストの2つの言語で表しているだけです。

  • Figmaは「見える構造」
  • コードは「読める構造」

つまり、Figma上で「どの要素がグループ化されているか」「どの部分が繰り返し構造なのか」を見抜けば、
コード化は驚くほどスムーズになります。


第2章:まず“観察力”を鍛えよう —— コーディングの7割は分析で決まる

初心者がやりがちな失敗は、いきなりコーディングを始めてしまうこと。
しかし、プロは最初に「構造を読む」ことから始めます。

Figmaのデザインを見るときは、以下の手順で観察しましょう👇


✅ ステップ①:レイヤー構造を確認する

Figmaの左側にあるレイヤーパネルを開き、「どの要素がどこに含まれているか」を見ます。

  • Frame(枠)= <div><section>
  • Group(グループ)= 意味のまとまり
  • Text(テキスト)= <h1>, <p> など
  • Auto Layout(自動配置)= Flexboxの概念

💡 ポイント:
FigmaでAuto Layoutを多用しているデザインほど、CSSでの実装が楽になります。
なぜなら構造が整理されているからです。


✅ ステップ②:共通パターンを見抜く

ナビゲーションバー、カード、ボタン、セクション見出しなど、
繰り返し使われているデザイン要素を特定します。

これらは「コンポーネント化」される部分です。
WordPressやReact、Tailwind CSSなどを使う場合にも、
この“共通ブロック”を意識することが生産性を高めます。


✅ ステップ③:フォント・カラー・余白のルールを抽出

Figmaの「Design」タブを見ると、
フォントサイズやカラーコード、マージン値が一覧で確認できます。

要素CSSプロパティ
文字サイズfont-size24px
color#333333
背景色background-color#f7f7f7
余白margin, padding40px 20px

この情報を先にメモしておくことで、後のスタイリングが効率的になります。


第3章:Figmaからコード化までの「実案件式」5ステップ

ここからは、現場の流れに沿った最短ルートの手順を紹介します👇


🧭 ステップ1:全体構造を決める(HTMLの骨組み)

Figmaで見出したセクション単位を、HTMLのタグで置き換えます。

<header></header>
<section class="hero"></section>
<section class="features"></section>
<section class="voice"></section>
<footer></footer>

コツ:
まず「大枠のセクション」だけを書く。
細かいコンテンツは後から入れる方がミスが減ります。


💻 ステップ2:レイアウトの枠をFlexboxやGridで組む

FigmaでAuto Layoutが設定されている部分は、ほぼFlexboxで再現可能です。

.features {
  display: flex;
  justify-content: space-between;
  gap: 24px;
}

もし縦横の構成が複雑な場合は、Gridを使います。

.grid {
  display: grid;
  grid-template-columns: repeat(3, 1fr);
  gap: 20px;
}

💡 実務のポイント:
まず「行・列の構造」だけ整え、装飾(色・影・角丸など)は後で加えます。
見た目を先に整えようとすると、構造が崩れやすくなります。


🎨 ステップ3:共通パーツを作り込む

Figma上で複数回出てくる要素(例:ボタン・カード・見出し)は、
HTMLではclass化して共通スタイルを定義します。

<a href="#" class="btn-primary">もっと見る</a>
.btn-primary {
  display: inline-block;
  background: #0078ff;
  color: #fff;
  padding: 12px 24px;
  border-radius: 6px;
  text-align: center;
}

これを繰り返すことで、「Figmaのコンポーネント」を
「再利用可能なコード」に変換する習慣がつきます。


📱 ステップ4:レスポンシブ対応(モバイル版設計)

Figmaのデザインには、PC・SPの両方が存在する場合があります。
その場合は、モバイルを基準にコーディングしましょう。

@media (min-width: 768px) {
  .features {
    flex-direction: row;
  }
}

💡 モバイルファースト思考:
先に小さい画面を設計 → 画面が広くなるごとに整える。
この順番が、今のCSS設計の主流です。


⚙️ ステップ5:仕上げの微調整・アクセシビリティ対応

最後に、フォントサイズ・コントラスト・alt属性などを確認します。

  • 文字サイズは clamp() で可変にする
  • ボタンのhover/focusを定義する
  • 画像には必ずaltを設定

Figmaは“デザインの見た目”を重視しますが、
コーディングでは“使いやすさ”も大切です。


第4章:実践練習!Figma→コード化ワーク課題

以下の課題を実際に手を動かして試してみましょう。
いずれも無料Figmaデータを使って、現場感のあるトレーニングができます。


🧩 課題①:1カラムのLPを再現してみよう

目的: セクション分け・縦のリズム感を掴む練習。

  • ヘッダー、ヒーロー、サービス紹介、CTA、フッター
  • Flexbox+section構造で構築

💡 コツ:Figmaの「Auto Layout」で区切られている単位ごとにHTMLタグを割り当てる。


🧱 課題②:カード型レイアウト(3列→1列)

目的: レスポンシブとGrid練習。

  • PCでは3列、スマホでは1列
  • 各カードは画像+タイトル+テキスト
.cards {
  display: grid;
  grid-template-columns: repeat(auto-fit, minmax(300px, 1fr));
  gap: 24px;
}

💬 このコードは、実務でもよく使われる“万能レイアウトパターン”です。


🧭 課題③:ナビゲーションバー+ヒーローセクション

目的: ヘッダーの配置・中央寄せの基礎をマスター。

  • ロゴ左/メニュー右
  • モバイル時はハンバーガーメニューに変更

💡 コツ:justify-content: space-between; を覚えると一気に楽になります。


⚡ 課題④:ボタンとフォームの再現

目的: Figmaのコンポーネント→class構造の変換。

<form>
  <input type="text" placeholder="お名前">
  <button class="btn-primary">送信する</button>
</form>

課題ポイント:
Figma上で同じボタンが複数ある場合、btn-primary, btn-secondary のように命名を意識しましょう。


第5章:コード化スキルを加速させる3つの習慣

① 「見るだけ」で終わらせない —— 手で動かす

Figmaを見て「あ〜こうなってるのか」で終わらせず、
1セクションだけでも自分で組む
手を動かすほど“変換脳”が鍛えられます。


② 変数化・コンポーネント化の意識を持つ

デザインには一貫性があり、コードにも「再利用性」が必要。
共通スタイルを変数やmixinでまとめると、修正が劇的に楽になります。


③ 完璧を目指さない

最初は「見た目が少し違う」程度でOKです。
目的は、“構造を理解すること”。
完璧主義よりも、回数をこなす方が成長します。


まとめ:Figma→コード化は「翻訳力」と「順序力」

Figmaのデザインをコード化するスキルは、
“翻訳”と“順序”が9割です。

  • 観察力で「構造」を見抜く
  • 枠(HTML)→配置(CSS)→装飾の順に進める
  • 共通パーツをclass化して再利用
  • モバイルファーストでレスポンシブ対応

デザインを“読む力”がある人は、コーディングでも伸びる。

Figmaをただ見るのではなく、構造を読み解く“翻訳者”になりましょう。
それが、Figma→コード化の最短ルートです。