UXを意識したFigmaデザイン練習法:ボタン1つの差が体験を変える

UXデザインとは“体験の設計”

Figmaを使ってデザインをしていると、つい“見た目の美しさ”に集中してしまいがちです。
ですが、UI(見た目)とUX(体験)はまったくの別物。

  • UI(User Interface):画面の見た目・配置・操作方法
  • UX(User Experience):ユーザーが感じる体験全体

UXを考えないUIは、どんなにきれいでも“使いにくいサイト”になってしまいます。
逆にUXを意識したデザインは、ボタン1つの配置や色の差で体験を大きく変えられます。

この記事では、Figmaを使ってUXを意識した練習を行うための具体的ステップを紹介します。

FigmaはUXを“見える化”できるツール

Figmaは単なるデザインツールではなく、UXを構造的に考える練習ツールとしても最適です。

UX練習にFigmaが向いている理由

項目理由
プロトタイプ機能ボタンやページ遷移を実際に動かせる
コメント機能他人の視点でフィードバックが得られる
オートレイアウト余白や整列を数値で再現できる
コンポーネント化一貫した体験を作りやすい

UXとは“感覚”ではなく“仕組み”。
Figmaを使うことで、体験を設計する力を鍛えられます。

Step 1:ボタン1つでUXを考える練習をしよう

UXの練習で最初に取り組むべきは、ボタンデザインです。
クリック(タップ)という単純な行動にも、UXの基本がすべて詰まっています。

▶ 練習テーマ:「同じボタンを3パターン作る」

パターン想定シーン意図
A:シンプルなボタン基本操作使いやすさ重視
B:強調されたボタンコンバージョン導線目立たせたい
C:無効状態ボタンローディングや制限時状況を伝える

練習のポイント

  • 文字(テキスト)の可読性
  • 色と背景のコントラスト
  • ホバー時・クリック時の変化

Figmaの「Prototype」モードで、ボタンの状態変化(Hover → Click)を設定すると、
“使って気持ちいいデザイン”が理解できます。

Step 2:ユーザーの視線を意識して配置する

UXを意識するうえで大切なのは、ユーザーがどこを見るかを考えること。

人は画面を「Z型」「F型」に視線移動します。

  • Z型:広告やランディングページなど、上から下へ流す構成
  • F型:記事やリスト形式など、左上から下に読む構成

▶ 練習課題

Figmaで次のような2種類の構成を作ってみましょう

  1. Z型構成 → キャッチコピー → ボタン → 画像の流れ
  2. F型構成 → メニュー → テキストブロック → CTAの流れ

視線の流れを可視化するコツ

  • グリッドをONにして要素を均等配置
  • 重要な要素を左上または中央に置く
  • 余白(ホワイトスペース)で視線誘導を作る

UXは「配置」で体験を制御できます。

Step 3:マイクロインタラクションを作ってみる

▶ マイクロインタラクションとは?

ユーザーの行動に対して、小さな反応や動きを返す仕組みです。

  • ボタンを押すと色が変わる
  • 送信完了でアニメーションが出る
  • ホバー時に影が動く

Figmaでは「Prototype」機能を使って、
“Hover → Click → Success”の3段階を設定できます。

▶ 練習方法

  1. ボタンを作る(通常状態)
  2. 複製して「Hover」バージョンを作る(色を少し変える)
  3. さらに「Click」状態(押し込まれた感じ)を作る
  4. Prototypeタブで「While hovering」「On click」を設定

ポイント

  • 変化は大げさにせず、0.1〜0.3秒程度で自然に。
  • クリック後の「達成感(Done!)」を表現できると理想的。

UXは“反応のタイミング”で印象が変わります。

Step 4:テキストとボタンの関係を考える

ボタンに書くテキストもUXの一部です。
たとえば同じボタンでも、文言によって印象がまったく違います。

ボタン文言UXの印象
送信形式的で冷たい
今すぐ申し込む行動を促す
無料で始める安心感がある
詳しく見る負担が少ない
次へ進む →スムーズな誘導感

Figmaでの練習

  • 同じボタンでテキストだけ変えて並べて比較
  • 「どれが押したくなるか?」を人に見てもらう

UXは「言葉の設計」からも磨けます。

Step 5:UI全体で体験の一貫性を保つ

UXはページ単位ではなく、サイト全体の流れで評価されます。

▶ 練習テーマ:「複数ページで同じ体験を再現」

  1. トップページ(CTAボタンあり)
  2. 詳細ページ(同じボタンを再利用)
  3. 完了ページ(ボタン色を変えて“完了感”を演出)

Figmaの「Component」と「Variant」を活用すれば、
ボタンやメニューの一貫性を簡単に保てます。

ポイント

  • 同じ操作は同じ見た目に
  • ページが変わっても「どこを押せばいいか」がわかる

UXは“迷わせないこと”が最大のデザインです。

Step 6:フィードバックを受けて改善する

UXデザインは“ユーザーの反応”を見て成長します。
Figmaでは共有リンクを使って、他の人の意見を集めましょう。

▶ フィードバックのもらい方

  • 「どのボタンを押したくなった?」
  • 「使いにくかったポイントは?」
  • 「一番目が行った場所はどこ?」

他人の視点を取り入れることで、
“自分では気づかない不便”を発見できます。

Step 7:実際のUX思考チェックリスト

チェック項目Yes/No
ボタンの色とサイズに意味があるか?
行動導線が1画面内で完結しているか?
遷移後に迷わない設計になっているか?
ボタンのテキストに行動意図があるか?
状態変化(Hover/Click)がわかりやすいか?
全体のトーンが統一されているか?

UXデザインとは、ユーザーが「次に何をすべきか」を迷わず理解できる設計です。

まとめ:UXは“感情を動かすデザイン”

ボタン1つ、色1つの違いがUXを大きく変えます。

  • 見た目を整えるUI から
  • 体験を設計するUX

この意識を持つことで、
あなたのFigmaデザインは“機能するデザイン”になります。

UXを意識するとは、「ユーザーの気持ちをデザインする」こと。
今日から1つのボタンに、体験のストーリーを込めてみましょう。